解説
準拠法条項は、ある契約関係に適用される法律を特定するための条項です。例えば、日本の企業と米国の企業が取引を行う場合、契約上、準拠法を「日本法」としておけば、基本的にはその取引に適用される法律は日本法となります。準拠法条項を置かなかった場合にどの国の法律を適用するかは、裁判や仲裁といった紛争解決手続きを主催する機関の所在地の手続法に基づいて決定されることとなります。
また、紛争解決手続きの実施場所を検討する際、管轄の設定には、専属(指定した機関でのみ紛争解決手続の実施を許容する)と非専属(指定した以外の機関でも法令上管轄が発生する場合は紛争解決手続の実施を許容し)があります。裁判管轄は、自国に設定しておくのが費用的にも結果の予測可能性という観点からも有利ですが、契約交渉の中で折り合いがつかない場合には、第三国の仲裁機関に管轄を設定することが実務的にはよく見られます。
例文:必要最小限の内容を含む例文
The construction, interpretation, validity and performance thereof shall be governed by the laws of [ ] without regard to principles of conflicts of laws.
【和訳】本契約の意味・解釈、有効性および履行は、抵触法の原則の適用を行わず、[ ] の法律に準拠するものとする。
例文:非専属的管轄権への同意を含む例文
This Agreement shall be governed by [ ] law. The parties to this Agreement agree that the [] courts shall have non-exclusive jurisdiction in relation to any dispute arising out of or in respect of this Agreement.
【和訳】本契約は、[ ]法に準拠するものとする。本契約の当事者双方とも、[ ]裁判所が本契約に起因する、または本契約に関連して生じる紛争に関連して非専属的な管轄権を有することに同意する。
例文:専属的管轄権への同意を含む例文(東京地方裁判所の例)
Venue and Governing Law. The parties hereby consent to the exclusive jurisdiction of Tokyo District Court for resolution of any disputes arising out of this Agreement. This Agreement will be governed by the laws of Japan, without regard to conflict of law principles.
【和訳】裁判管轄および準拠法。両当事者は、本契約に起因する紛争について、東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。本契約は、抵触法の原則を適用せず、日本法に準拠する。